今年、会社設立から100年を迎えた長野電鉄。その後半50年近くの鉄道の歩みを、カメラのレンズを通して見つめ続けてきた人がいる。小林光一さん(64)=青木島町。胸の中で「次の100年も頑張って」とエールを送りながら、今日もレンズ越しに電車を見守る。

松代町で育った。物心ついた頃から鉄道が好きで、長電が身近な存在。松代駅へ連れてこられると泣きやんだ。屋代高校へ自転車で通った頃は、並走する貨物列車と競走した。「勝てるはずもないのにね」と目を細めて笑う。鉄道写真を撮り始めたのもその頃。モハ600形など長野電鉄のクラシカルな車両が、北信濃の田園風景の中を走る写真が残っている。

高校3年の時、長野電鉄の写真を鉄道雑誌に投稿して初めて採用された。20代はいったん鉄道写真から離れたが、30代からサラリーマン生活の傍ら、週末を中心に撮影を続けてきた。

思い出深いのは、屋代線廃止直前の2012年春。毎週末、撮影に通った。廃止の10日ほど前には、個人で電車1編成を貸し切りにして須坂―松代間を往復。家族や友人を乗せながら、自身は心ゆくまで撮影した。「一生に一度の思い出。楽しかった」

近年は主に動画を撮っている。動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」に、「ichi pika」のチャンネル名で3千本を超える鉄道映像をアップ。チャンネル登録者数1万2千人以上と多くのファンを抱えている。

全国の鉄道を載せているが、私鉄で数が多いのは、やはり地元の長電。運行中の車両だけでなく、12年に全車引退した特急2000系など過去の車両、廃止された木島線や屋代線の沿線風景など、貴重な映像記録のオンパレードだ。

長電は「北信五岳や田んぼ、リンゴ畑の中を走るのどかな感じが好き」。一方、木島線や屋代線の廃止などに思いをはせ、「鉄道があって、沿線に町がつくられる。鉄道がなくなると、地域が廃れてしまう気がする」とも話している。
記事・写真 竹内大介
(2020年7月25日掲載)

写真左上=錦町駅(現長野大通り南千歳町交差点近く)に止まる2500系電車(1978年ごろ)=小林さん撮影
左下=丸い先頭部が愛らしい長電オリジナルの特急車両2000系(2011年)=小林さん撮影
右=付属中学駅前駅(南堀)近くの沿線で動画を撮影する小林さん