夜のカフェレストランに、フルートとチェロ、ピアノの優しい音色が響く。7月上旬、東町の「hiyoriCafe」で開かれた生演奏とディナーコースを楽しむ夕べ。新型コロナウイルスの影響で、コンサートを開く機会を失った市内の若いクラシック演奏家が、同じように深刻な影響を受けた飲食業界と、手を取り合おうと踏み出した取り組みだ。

「Oto Project」と名付けた企画を発案したのは、チェロ奏者の外山賀野さん(24)。演奏家が飲食店へ赴いて生演奏し、店の集客に役立つ仕組みを考えた。演奏料は1時間で3千円から、出張費は1千円からと、気軽に依頼できる価格にした。演奏の編成や時間は店と相談して決める。

この日は、外山さんら小諸高校音楽科の同級生でつくる「音なりトリオ」で出演。オープニングの15分間演奏した後、食事の時間を取り、メイン料理の後で30分、再び演奏を披露した。演奏曲はクラシックの小品のほか、映画音楽やテレビ番組のテーマなど、親しみやすい曲を選んだ。

テーブルについた客と演奏者は、息づかいが伝わるほど近い。「店のしゃれた雰囲気と音楽がいい感じにコラボレーションしていた。初めてこの店に来るきっかけにもなった」と訪れた70代男性。外山さんとよく共演するというピアニストの女性も耳を傾け、「生の演奏で聴く人の気持ちが豊かになればいい。(外山さんらの企画は)素晴らしいチャレンジ」と話した。

4カ月ぶりに聴衆の前で弾いた外山さんは「演奏できて幸せ」と顔をほころばせた。今後は「朝食やランチなど、時間やスタイルを問わずにフットワーク軽くお店に出向いていきたい」。逆境にくじけず前向きな外山さん。「コロナ禍の前より、音楽が皆さんの身近なものになればいい」と願っている。

記事・写真 竹内大介

マスクを着けて演奏する外山さん(右端)ら。飲食店からの出張演奏申し込みは事務局
((電)080・6997・0327、(メール) kanocello@gmail.com)で受け付けている