長野市芸術館職員の竹藤敏さん もう一つの顔は…クラシック音楽の作曲家

27曲の楽譜出版 打楽器五重奏曲「風の荒野」 全国の中高生らがコンテストで演奏
~「新しい音楽 身近に感じて」

長野市芸術館の貸し館担当職員、竹藤敏さん(29)=高田=には、もう一つの顔がある。それは、クラシック音楽の作曲家。これまでに器楽アンサンブルや管弦楽曲、合唱曲など39曲を作り、そのうち27曲の楽譜が出版されている。

長崎県出身。高校時代は吹奏楽部で打楽器を担当していた。合奏練習の時、休む箇所の多い打楽器パートの人はほかのパートの練習を聴いている時間が多い。聴くうちに、音楽がどのようにできているかを考えるようになった。「自分にも作れないかな」。こうして高校2年で初めて作曲したのが、打楽器五重奏曲「風の荒野」。今、全国の中高生らがコンテストなどで演奏する人気曲の一つになっている。

広島県の大学、さらに大学院へ進んで作曲を本格的に学び、多くの曲を作った。5年前に妻の出身地である長野県に移住してからも、大町市の中学校吹奏楽部からコンクールで演奏するために委嘱された曲など、8曲ほどを手掛けている。

作風の特徴は、親しみやすいメロディーだ。「幼い頃から、両親の影響でビートルズやカーペンターズを聴いていた影響かも」。ファンタジー映画のような物語性を感じさせる曲の展開も聴く人を引き込む。一方で、聴きやすいだけの音楽にならないように、はっとするような意外な音をまぜ込むなど工夫を凝らす。

作曲するのは休館日などの休日。頭の中にあるメロディーや和音をパソコンで楽譜にしていく。思うようにいかないことも多く、「曲を作る作業はいつも苦しい」。でもその分、出来上がった曲を初めて聴いた時の喜びは格別だ。「自分が書いた楽譜から、生きた音楽が出てくる。新鮮な驚きがあり、生み出す苦しみを全て吹っ飛ばしてくれる」と言う。

ホールの仕事をする中で、日本のクラシックの世界では、古いものが喜ばれる傾向が強いことを感じるという。「一人の作曲家として、少し寂しい。もっと新しい音楽が歓迎され、身近に感じてもらえるようになったら」と願っている。

記事・写真 竹内大介

写真=自宅のパソコンで作曲する竹藤さん。コロナ禍で竹藤さんの曲が生演奏される機会はあまりないが、動画投稿サイト「YouTube」の竹藤さんのチャンネル「Satoshi Takefuji」で聴くことができる