地区の農家らが栽培 ブランド化を目指す
「さくさくとした食感」「ほんのり酸味」

明治時代に県内の先駆けとしてリンゴの生産が始まったとされる真島地区で、「真島のリンゴ」のブランド化を目指している「真島まちづくり委員会」(小山英寿(ひでかず)会長)は、明治時代に栽培されていた品種「倭錦(やまとにしき)」の栽培に成功し、初収穫をした。関係者は、「赤く、良いリンゴが実った」と喜び、「真島のリンゴ」のPRに「倭錦」を活用していく考えだ。

旧内務省の資料によると、長野県にリンゴの苗木が導入されたのは1874(明治7)年。県は79(同12)年、戸長(現在の町村長)3人に配った。その一人、旧真島村戸長だった中沢治五右衛門が「紅絞(べにしぼり)」の苗木を自宅庭に植えたのが真島地区のリンゴ栽培の始まり。実がなるまでに6年かかったという。

その後、別の品種「倭錦」も加わり、リンゴの木が増えていった。しかし、「国光(こっこう)」など新品種が普及するにつれて紅絞と倭錦は減っていき、共に栽培されなくなったという。

同委員会は3年前、真島のリンゴのルーツとも言える「紅絞」と「倭錦」の苗木を15本ずつ植えた。「紅絞」は今年の8月、収穫時期を迎えたが、木の伸びが悪く、5本から10個の収穫にとどまり、栽培の難しい品種であることが分かった。一方、「倭錦」は10月下旬から11月上旬、2年前に植えた苗木を含め18本から50個を収穫した。

11月中旬に開いた倭錦の試食会では、3軒の農家が収穫した倭錦50個を持ち寄り、大きさや色、形などを比べ、試食した。さくさくした食感で甘く、ほんのり酸味もあり、国光に近い甘さと評価した。

同委員会は、2品種の苗木を接ぎ木して増産。リンゴ栽培開始から140周年を記念して、昨年、地区内の農家150軒に2品種の苗木を1本ずつ、計300本配布した。「真島だけで栽培して、真島のリンゴとしてブランド化していきたい」と、真島地区だけで栽培していく方針だ。

「真島のリンゴ」をPRするため、11月上旬には軽井沢と志賀高原のホテルにサンプルを持参した。「県内リンゴ栽培の先駆けとなった真島のリンゴに興味を持ってもらえた」と、羽生田春樹さん(72)=川合=は手応えを感じた。

小山保徳さん(58)=梵天東=は「真島町でリンゴの栽培をしたいという人を増やしたい。倭錦と紅絞をまちづくりに生かせれば」と期待している。関係者は、生食のほか、新しいスイーツ作りに生かしていくなどの展開も模索している。

記事・写真 滝沢美緒

写真=「倭錦」を手に、出来栄えを話し合う左から小山英寿さん、羽生田春樹さん、小山保徳さん